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去勢手術と避妊手術について
雄猫の手術を去勢手術、雌猫の手術を避妊手術といいます。手術は全身麻酔で行ないます。全身麻酔のため危険性はゼロではありませんが、若く健康な猫の施すことがほとんどなので、他の手術に比べれば安全です。
妊娠するわけでもない雄猫に、どうして去勢手術が必要なのでしょう。精巣からは男性ホルモンが出ています。その男性ホルモンによって、猫は雌猫を追いかけたくなり、外に出たくなり、発情している雌猫がいれば興奮します。
それなのに、外に出られず、雌猫もいないので去勢していない雄猫はストレスだらけです。去勢手術の一番の目的は雄猫のストレスをなくすためなのです。
雌猫の避妊手術はどうして必要なのでしょうか。雌猫は季節になると発情を繰り返します。猫は交尾排卵と言って、交尾することで排卵が起こり発情が終わります。交尾がなければ、発情は長めに続き、発情を繰り返します。それは猫にとってのストレスです。
去勢していない雄猫はストレスだらけです。去勢手術の一番の目的は雄猫のストレスをなくすためなのです。それ以外にも去勢手術のメリットがあります。雄猫の尿は独特のきつい匂いがします。これは雄の尿に含まれるフェリニンという物質の匂いです。フェリニンは精巣から分泌される男性ホルモンによって多く分泌されます。去勢手術をすると男性ホルモンが出なくなり、フェリニンという物質も少なくなります。だから去勢手術すると雄猫のきつい尿の匂いがなくなるのです。
去勢手術の目的の1つに、尿スプレーによるマーキングの防止があります。壁などにお尻を向けてピッと尿を飛ばします。ここは俺のなわばりだとか自己主張を匂いによってしているのでしょう。厄介なところは、野生の猫にとっては正常な行為なのです。猫には悪気は全くないのです。怒られたところで、猫にとっては????です。尿スプレーは飼っている猫の数が多いほど起きやすくなります。自己主張したくなるのでしょう。去勢手術で9割の猫はしなくなりますが、一部の猫は去勢後も尿スプレーが続きます。その様な場合は精神安定剤などを使います。猫を怒っても何の解決にもなりません。
避妊手術は病気を予防する効果もあります。早期に避妊手術すると将来乳癌になりづらくなります。生後5ヶ月くらいでの手術をお勧めすることが多いです。
もし避妊手術をしなかったらという話をします。たまたま妊娠中の猫(仮名タマちゃん)を拾い、その猫がすぐに出産したとします。生まれた子猫は雄が2匹、雌が2匹と仮定しましょう。たまは、2カ月たったら発情が来て、その2か月後には出産します。また4匹生まれたとします。その2か月後にはタマちゃんはまた発情です。その時には最初の子猫たちも発情です。その2か月後にはタマちゃんと最初の生まれた雌2匹も出産です。その2か月後にはタマちゃんと最初に生まれた雌2匹、そして2番目に生まれた雌2匹も発情です。その2か月後には出産です。なんとその2か月後には、たまと最初に生まれた雌2匹、2番目に生まれた雌2匹、そして最初に生まれた雌2匹が生んだ雌猫たちも発情です。その2か月後には合わせて9匹が出産するのです。
よく多頭飼育崩壊がニュースになりますが、特別なことではなく、避妊手術を怠れば、1,2年の間に誰にでも簡単に起こってしまうことなのです。猫は妊娠期間が2か月であり出産後2カ月で発情がきます。避妊手術をしようかしまいかと迷っている時間はないということです。
本来の自然な姿とはどんな状態なのでしょう。雌猫を追いかけ、他の雄猫と争い、自分の子孫を多く残そうとするのが、自然な姿のはずです。今の飼猫にそのようなことが許されるでしょうか。他の雄猫と争えば、猫エイズなどの感染症に感染し感染させてしまいます。雌猫を追いかけていれば、交通事故に遭うかもしれません。子孫を増やせば、不幸なノラ猫を増やすことになります。猫も人間社会で生きている以上、本来の自然な姿で生きることはあり得ないのです。去勢手術は猫のストレスをなくすためにも必要なのです。
野良猫に去勢手術避妊手術を施す場合があります。野良猫をこれ以上増やさないためです。
公園に猫がいる風景は素敵ですが、野良猫は6カ月齢までに75%が死んでしまいます。野良猫に去勢手術避妊手術をする時に困るのは、どの猫を手術したのかわからなくなることです。特に雌猫は手術の時刈った毛が生えてきたら、わかりません。
そのため、野良猫を手術するときは、手術しましたという印を付けます。耳に切れ込みを入れるのです。形状から「サクラ耳」と呼ばれます。雄は右耳、雌は左耳と決まっています。耳を切られてかわいそうな気もしますが、避妊手術去勢手術の麻酔中に行うため、猫に痛みはありません。
よく質問されるのは、いつ手術をしたらよいですか?マーキングを予防するには早い方がよい、発情が一度きてからの方がよい、いやいや一度出産させてからの方がよい、などいろいろな意見に迷ってしまいます。
まず、雄猫についてですが、いつでもよいです。尿のよるマーキングをする前でもした後でも予防効果は同じです。一度マーキングをしたらその後去勢手術をしても治らないということはないようです。去勢手術をしていないと、外に出たがるようになりやすいので、早い方が良いかもしれません。
雌猫ですが、避妊手術は早ければ早いほど良いです。将来的に乳がんになるリスクが下がるからです。遅くても1歳になる前には手術します。1歳を過ぎると手術をしても乳がんになるリスクは下がりません。
雄猫も雌猫も生後6か月くらいでの手術が多いようですが、雌猫は生後5か月くらいでの手術がよいと思います。犬の場合早すぎる去勢手術避妊手術は性器の発育を妨げると言いますが、猫の場合は早すぎる手術で問題が起きることはありません。ただ、2,3カ月齢だと麻酔が難しくなるため、5カ月齢くらいでと勧めています。
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